一般社団法人 富士山チャレンジプラットフォーム

ビーコンを活用した登山者の動態把握調査とデータ活用による防災への取り組み
「御嶽山チャレンジ2023」の実施に協力

一般社団法人富士山チャレンジプラットフォームは、2023年8月26日(土)、27日(日)の2日間で長野県と岐阜県の県境に位置する御嶽山にて登山者に協力いただき、登山者の動態に関するデータを収集・分析する調査「御嶽山チャレンジ2023」に協力することとなりました。
一般社団法人富士山チャレンジプラットフォームでは、今回の御嶽山以外でも、富士山、那須岳にてビーコンを活用した登山者動態調査を行い、登山者の行動傾向や火山防災に資するデータの収集・分析等を通じて、火山観光地域での防災やまちづくり、登山者の安全安心の取組に協力してまいりました。

御嶽山チャレンジ2023は、将来起こりうる噴火発生時および平時において防災に登山者の動態把握調査によるデータを活用して火山防災対策を推進することを目的に、国立研究開発法人 防災科学技術研究所と長野県(危機管理部危機管理防災課)が主体となり、木曽町、王滝村、御嶽山火山防災協議会、御嶽山火山マイスターネットワーク、国立大学法人名古屋大学 御嶽山火山研究施設、一般社団法人富士山チャレンジプラットフォームの協力にて実施するものです。
この調査は、2014年の御嶽山噴火災害の際に課題となった登山者の入山状況や、登山者の混雑状況の把握を行って、安全安心な登山対策に役立てるもので、誰もが簡単に参加できる調査です。
登山者の方々のご理解とご協力をよろしくお願いします。

また、御嶽山チャレンジ2023の実施とともに、2023年8月26日(土)(予備日:27日(日))に木曽町の登山者参加型の避難訓練が実施されますので、併せてご協力をお願いします。

御嶽山チャレンジ2023ポスター

御嶽山チャレンジ2023 実施概要

1.実施目的

登山者動態をビーコンを活用して計測し、御嶽山火山防災に資するデータの収集・分析を目的とする。
御嶽山の登山者に協力いただき、ビーコン(信号を半径20~30メートルの範囲に発信する機器)を配布して行動いただくことで、登山道に事前に設置したレシーバーによって登山者の動態(おおよその数と位置、その時間経過)を検知把握する調査です。
把握したデータから登山者の動態を分析することで、噴火発生時および平時の防災利用に取得データを活用する事を目的としています。
本実験は、文部科学省次世代火山研究推進事業の一環として実施するものです。

<背景>

日本国内には、活発な火口近傍まで登山客が近づくことのできる火山が多く存在します。
御嶽山もそのひとつであり、2014年の御嶽山噴火災害では、噴火発生時に登山者の動向を把握することに時間を要し、その後の救助・捜索活動に困難が生じました。こうした課題の解決を目指し、簡便なシステムで登山者データを取得し登山者の動態をリアルタイムで把握する手法の開発が進められてきました。国立研究開発法人 防災科学技術研究所は、これまで富士山や那須岳で行われた登山者動態把握実験に参加または主催しており、地元自治体をはじめとする防災関係機関による噴火発生時の災害対応およびその意思決定に資する情報、または訓練などの事前防災に役立つ情報を提供することを目的とし、今回御嶽山において登山者の動態を把握するための調査を実施することとなりました。

2.調査内容

登山者動態把握(ビーコンを活用した登山者動態モニタリング)および分析
※携帯通信エリア外は対象外

  • 登山者数、移動速度、経路選択
  • 時間帯による登山者数変化(滞在時間等)
  • リアルタイムでの登山者混雑度
3.調査日時 ※小雨決行、荒天順延

2023(令和5)年8月26日(土)、27日(日) 4:00~16:00 ※ビーコンの配布・回収時間

4.調査範囲

①黒沢口登山道: 御嶽ロープウェイ鹿ノ瀬駅・中ノ湯駐車場~剣ヶ峰
②王滝口登山道: 王滝口~王滝山頂~八丁ダルミ~剣ヶ峰

5.ビーコン配布・回収ポイント

①おんたけロープウェイ鹿ノ瀬駅
②中ノ湯駐車場
③田の原登山口(やまテラス王滝前)
※24時間返却可能となるよう返却ポストを設置

6.レシーバー設置ポイント

黒沢口登山道、王滝口登山道を対象として、21か所に設置
(おんたけロープウェイ鹿ノ瀬駅/中の湯駐車場~剣ヶ峰山頂~二ノ池~三ノ池~8合目トラバースルート)
(田の原登山口~王滝山頂~八丁ダルミ~剣ヶ峰)

7.想定登山者数

2日間最大1,500名を想定

8.実施体制
実施主体 国立研究開発法人 防災科学技術研究所
長野県
協力 木曽町
王滝村
御嶽山火山防災協議会
御嶽山火山マイスターネットワーク
国立大学法人名古屋大学 御嶽山火山研究施設
一般社団法人富士山チャレンジプラットフォーム
9.実施方法

登山者にビーコン(写真1)を持って登山をしていただき、あらかじめ登山道他(図1)に設置したレシーバー(写真2)でビーコンを持った登山者の動きを検出します。
同様のシステムを利用した実験は、御嶽山では2019年、2022年の2回実施実施しており(2020年は台風のため中止)、他の火山では富士山(2015年、2019年の2回、那須岳(2020年、2022年の2回)で実施しています。
御嶽山では前回2022年に、長野県木曽町が実施する御嶽山の噴火を想定した登山者参加型の避難訓練と連携して訓練参加者のモニタリングも行い、御嶽山における火山防災上の問題点を明らかにすることにも、登山者動態調査と併せて取り組みました。2023年も同様に実施いたします。

ビーコンおよびレシーバー

【図1】
レシーバー設置ポイント図

黒沢口登山道、王滝口登山道を対象として、21か所に設置
(おんたけロープウェイ鹿ノ瀬駅/中の湯駐車場~剣ヶ峰山頂~二ノ池~三ノ池~8合目トラバースルート)
(田の原登山口~王滝山頂~八丁ダルミ~剣ヶ峰)

レシーバー設置ポイント図

取得データの活用

・平時(事前防災)における登山者データの活用
本実験を、木曽町が実施する御嶽山の噴火を想定した 登山者参加型の避難訓練と連携して行うことで、訓練に参加する登山者の避難行動をモニタリングし、噴火発生時の登山者による①避難状況(どういうルートでどこに避難するか等)、②避難能力(避難に要する時間等)、③その他避難上の問題点等が分かり、結果として火山防災上の問題点を明らかにします。
また、得られる登山者データとハザード情報(ハザードマップやシミュレーション結果等)を重ねることで、噴火発生時の登山者の曝露(何人くらいの登山者がどのくらい噴火ハザードに曝されているか)を推定することができ、簡易的ではありますが、登山者の人的被害推定をすることが可能となります。
登山者の人的被害推定はこれまでほとんど行われておらず、本実験の結果を地元自治体や御嶽山火山防災協議会と共有することで、避難計画を策定もしくは改訂(避難施設、避難指示看板の設置場所や避難経路を決定)する際に役立てることを目指します。

・噴火発生時における登山者データの活用
噴火発生時に本システムが稼働していた場合、登山者の動向把握にかかる時間が大幅に短縮され、地元自治体と共有することで噴火発生時の適切な初動対応や判断に役立てられることが見込まれます。
参考までに、2014年御嶽山噴火では登山者の動向を把握するのに数日かかったとされますが、2020年に本システムを利用して那須岳で行った実証実験では、ビーコンを配布した約1,000人の登山者に対して1時間で全体の約75%、2時間で約90%の動向を把握することができました。本実験で得られるデータは準リアルタイムで集計され、インターネットの地図上で可視化することを想定しています。
本実験を通して、登山者データがどのような形で共有されれば 噴火発生時の地元自治体などの災害対応機関による対応(登山者の把握、避難指示の発出、登山者の救助・捜索活動など)に役立つのかも併せて調査します。

・火山防災以外での登山者データの活用
本実験で得られるデータをインターネットやアプリで閲覧可能にすることで、一般の方々(登山者、周辺住民、地方自治体、関係機関等)が平時の登山道の混雑状況を把握することができるようになります。
また、得られた結果を後処理することで、登山者の行動パターン(登山時の移動速度、通ったルート、休憩ポイント、ロープウェイ利用の有無など)を把握することができます。

ご連絡先

なお、実験の詳細等についてお知りになりたい場合、下記の一般社団法人富士山チャレンジプラットフォーム担当までご連絡をお願いします。

■(一社)富士山チャレンジプラットフォーム(担当)田中 義朗
携帯:090-8806-2964
E-mail office@fujisanchallenge.or.jp

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