一般社団法人 富士山チャレンジプラットフォーム

登山者動向データ活用による防災への取り組み
「御嶽山チャレンジ2022」に実施協力

一般社団法人富士山チャレンジプラットフォームは、2022年9月17日(土)、18日(日)の2日間で長野県と岐阜県の県境に位置する御嶽山にて登山者動向把握・分析による実証実験「御嶽山チャレンジ2022」に協力することとなりました。

御嶽山チャレンジ2022は、ビーコンを使用して登山者の動向に関するデータを収集・分析し、将来起こりうる噴火発生時および平時においての防災に活用していくことを目的に、国立研究開発法人 防災科学技術研究所が主体となって行うものです。

登山者の方々には、本実証実験へのご理解とご協力をよろしくお願いします。

御嶽山チャレンジ2022・ポスター

御嶽山チャレンジ2022 実施概要

内容

御嶽山の登山者に協力いただき、小型のビーコン(信号を半径20~30メートルの範囲に発信する機器)を配布して行動いただくことで、登山道に事前に設置したレシーバーによって登山者の動向(おおよその数と位置、その時間経過)を検知把握する実証実験です。
把握したデータから登山者の動向を分析することで、噴火発生時および平時の防災利用に取得データを活用する事を目的としています。
本実験は、文部科学省次世代火山研究推進事業の一環として実施するものです。

背景

日本国内には、活発な火口近傍まで登山客が近づくことのできる火山が多く存在します。
富士山や那須岳そして御嶽山もその一つであり、2014年の御嶽山噴火災害以降は少しずつ登山者も増え、近年の規制緩和で黒沢口登山道から剣ヶ峰まで登頂することができるようになりました。
2014年の御嶽山噴火災害では、噴火発生時に登山者の動向を把握することに時間を要し、その後の救助・捜索活動に困難が生じました。こうした課題の解決を目指し、簡便なシステムで登山者データを取得し登山者の動向をリアルタイムで把握する手法の開発が進められてきました。国立研究開発法人 防災科学技術研究所は、これまで富士山や那須岳で行われた登山者動向把握実験に参加又は主催しており、地元自治体をはじめとする防災関係機関による噴火発生時の災害対応およびその意思決定に資する情報、または訓練などの事前防災に役立つ情報を提供することを目的とし、今回御嶽山において登山者の動向を把握するための実験を行うこととなりました。

日時

2022年9月17日(土) 6:00~16:30頃
2022年9月18日(日) 6:00~16:30頃
※上記時間にて登山者にビーコン配布・回収を行い、データ取得に協力いただく。
※天候等の状況により、2022年9月19日(月)に順延する場合があります。

ビーコン配布・回収ポイント

御岳ロープウェイ鹿ノ瀬駅、中ノ湯駐車場

レシーバー設置ポイント

黒沢口登山道(御岳ロープウェイ鹿ノ瀬駅/中ノ湯駐車場~剣ヶ峰山頂~ニノ池、三ノ池、8合目トラバースルート)

実施体制
主体 国立研究開発法人 防災科学技術研究所
実験担当者 火山防災研究部門 主任研究員 宮城 洋介
共催 長野県、木曽町
後援 長野県(危機管理防災課)、
御嶽山火山防災協議会(長野県)
協力 御嶽山火山マイスターネットワーク、
国立大学法人名古屋大学(御嶽山火山研究施設)、
一般社団法人富士山チャレンジプラットフォーム
実施方法

登山者に小型(約5cm四方)のビーコン(写真1)を持って登山をしていただき、あらかじめ登山道他(図1)に設置したレシーバー(写真2)でビーコンを持った登山者の動きを検出します。
同様のシステムを利用した実験は、御嶽山では2019年にも実施されており(注1)、他の火山では富士山(2015年/2019年の2回(注2)、那須岳(2020年、2021年の2回(注3))で実施しています。
御嶽山の前回2019年の実験との違いとして、今回は長野県木曽町が実施する御嶽山の噴火を想定した登山者参加型の避難訓練と連携して訓練参加者のモニタリングも行い、御嶽山における火山防災上の問題点を明らかにすることにも併せて取り組みます。

注1: https://www.fujisanchallenge.or.jp/index.php/2019/post-646/
注2: https://www.fujisanchallenge.or.jp/index.php/fc2019/
注3: https://www.fujisanchallenge.or.jp/index.php/2021/post-867/
ビーコンおよびレシーバー

レシーバーの設置予定位置図
【図1】レシーバー設置予定位置図(15か所)
取得データの活用

・平時(事前防災)における登山者データの活用
本実験を、木曽町が実施する御嶽山の噴火を想定した 登山者参加型の避難訓練と連携して行うことで、訓練に参加する登山者の避難行動をモニタリングし、噴火発生時の登山者による①避難状況(どういうルートでどこに避難するか等)、②避難能力(避難に要する時間等)、③その他避難上の問題点等が分かり、結果として火山防災上の問題点を明らかにします。
また、得られる登山者データとハザード情報(ハザードマップやシミュレーション結果等)を重ねることで、噴火発生時の登山者の曝露(何人くらいの登山者がどのくらい噴火ハザードに曝されているか)を推定することができ、簡易的ではありますが、登山者の人的被害推定をすることが可能となります。
登山者の人的被害推定はこれまでほとんど行われておらず、本実験の結果を地元自治体や御嶽山火山防災協議会と共有することで、避難計画を策定もしくは改訂(避難施設、避難指示看板の設置場所や避難経路を決定)する際に役立てることを目指します。

・噴火発生時における登山者データの活用
噴火発生時に本システムが稼働していた場合、登山者の動向把握にかかる時間が大幅に短縮され、地元自治体と共有することで噴火発生時の適切な初動対応や判断に役立てられることが見込まれます。
参考までに、2014年御嶽山噴火では登山者の動向を把握するのに数日かかったとされますが、2020年に本システムを利用して那須岳で行われた実証実験では、ビーコンを配布した約1,000人の登山者に対して1時間で全体の約75%、2時間で約90%の動向を把握することができました。本実験で得られるデータは準リアルタイムで集計され、インターネットの地図上で可視化することを想定しています。
本実験を通して、登山者データがどのような形で共有されれば 噴火発生時の地元自治体などの災害対応機関による対応(登山者の把握、避難指示の発出、登山者の救助・捜索活動など)に役立つのかも併せて調査します。

・火山防災以外での登山者データの活用
本実験で得られるデータをインターネットやアプリで閲覧可能にすることで、一般の方々(登山者、周辺住民、地方自治体、関係機関等)が平時の登山道の混雑状況を把握することができるようになります。
また、得られた結果を後処理することで、登山者の行動パターン(登山時の移動速度、通ったルート、休憩ポイント、ロープウェイ利用の有無など)を把握することができます。

ご連絡先

なお、実験の詳細等についてお知りになりたい場合、下記の(一社)富士山チャレンジプラットフォーム担当までご連絡をお願いします。

■(一社)富士山チャレンジプラットフォーム
(担当)田中 義朗
電話:03-3238-8000(事務局:日本工営㈱)
携帯:090-8806-2964
E-mail office@fujisanchallenge.or.jp

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